□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


「……へぇ、そっか」

仕事じゃなくて女か。
大変だなぁ片桐も。

寝ぼけた頭のままでそう考えて、脳がその言葉の意味を理解した時には、片桐は玄関で靴を履いているところだった。

え……、女って、どういう事!?

慌てて玄関に行く。
靴を履いて立ち上がった片桐が、いつもと変わらぬ平然とした様子でこちらを振り返った。

「じゃ、お邪魔しました」

私のおでこに一瞬触れるだけのキスをして、さっさと部屋を出て行く。
きっと普通だったら、男の首根っこを押さえつけて納得いくまで説明させるんだろうけど、私はぼうぜんとしたまま片桐の後姿を見送るだけで精一杯だった。


そこで何も言えなかった私は、明らかに恋愛経験不足だと思う



□TRIFLE□05□END□


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