□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
「札幌に行くから一緒に飲もうってしつこく誘われて、困ってるんですよ」

「そうなんですか。もし美咲さんが断りづらいなら、私から電話しましょうか?」

「断るよりも、平井さん一緒に来てくれませんか?」

予想外の提案に目を瞬かせる。

「え?」

「二人きりは嫌なので、平井さんも一緒に飲みましょうよ」

ふたりきりではないとはいえ、美咲さんと一緒に飲むなんて気まずすぎる。
ここは社会人らしく、仕事を口実に断ろう。なんて思っていると、美咲さんがにっこりと笑った。

「今週は校了が終わって忙しくないから大丈夫なんですよね?」


気の進まない飲み会に出るくらいなら、会社に泊まり込みで仕事し続けるほうがずっとマシだ。
なんて思ってしまう私は、やっぱり仕事バカなんだろう。


□TRIFLE□10□END□

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