そして消えゆく君の声
「なんかさ、学校の奴って俺と征一をセットにしてるでしょ。優しい征一さんと真面目な要さん、二人の王子様って」
私の気持ちを読んだように要さんが笑った。蔑むような笑みだった。
「あれって本当しょうもないよね。纏めるなら同格同士でやってくれよ。一緒にいる時、俺はずっと征一が失敗するのを待ってるのに。何か失敗すれば出し抜けるかもしれないってさ」
「要さん……」
「俺もね、後ろ盾なんかないんだよ。二軍だからね。だから何とかしてあいつに勝ちたかったんだけど、影すら踏めないわ」
指のあいだで、火の点けられない煙草が揺れている。
要さんの中にある征一さんへの対抗心。見た目からは想像できないほど深くて、けれど、同時にあきらめを見すえている。
いびつな感情は、黒崎くんが抱えているものとはまた別の複雑さで胸に巣食っているのかもしれない。
「ま、要は俺は協力できないってことで。大体、俺になんとか出来る程度の問題ならとっくに解決してるでしょ。草を刈ったところで、根をなんとかしなけりゃどうしようもない」
「……根?」
「親父の正しさへの固執かな。誰も彼もがベストを尽くして、模範的でなければならないって。病気みたいなもんだね。家中に広がった以上、俺一人じゃ到底取り除けないよ」
柔らかい、けれど明確な拒絶のニュアンスに私はそっと目を伏せた。両手で持ったグラスの中で、氷がピシ、と音を立てる。
私の気持ちを読んだように要さんが笑った。蔑むような笑みだった。
「あれって本当しょうもないよね。纏めるなら同格同士でやってくれよ。一緒にいる時、俺はずっと征一が失敗するのを待ってるのに。何か失敗すれば出し抜けるかもしれないってさ」
「要さん……」
「俺もね、後ろ盾なんかないんだよ。二軍だからね。だから何とかしてあいつに勝ちたかったんだけど、影すら踏めないわ」
指のあいだで、火の点けられない煙草が揺れている。
要さんの中にある征一さんへの対抗心。見た目からは想像できないほど深くて、けれど、同時にあきらめを見すえている。
いびつな感情は、黒崎くんが抱えているものとはまた別の複雑さで胸に巣食っているのかもしれない。
「ま、要は俺は協力できないってことで。大体、俺になんとか出来る程度の問題ならとっくに解決してるでしょ。草を刈ったところで、根をなんとかしなけりゃどうしようもない」
「……根?」
「親父の正しさへの固執かな。誰も彼もがベストを尽くして、模範的でなければならないって。病気みたいなもんだね。家中に広がった以上、俺一人じゃ到底取り除けないよ」
柔らかい、けれど明確な拒絶のニュアンスに私はそっと目を伏せた。両手で持ったグラスの中で、氷がピシ、と音を立てる。