私が本物の令嬢です!

 セオドアがフローラに寄り添い、声をかける。


「よく言った。よく頑張った。君は自分の口で自分の名前を言ったんだよ」
「公爵、さま……」

 フローラは再び、父である伯爵を見上げた。
 そこには憎悪のような嫌悪感あふれる顔がある。


 遠い昔、まだ母が生きていた頃。
 父と三人で出かけたり、食事をしたりしていた。
 そのときは笑顔だったはずだ。

 いつから家族は壊れてしまったのだろう。


 フローラはずっと父に振り向いてほしかった。
 どれほど冷たくされても、いつかまた笑顔を向けてくれるのではないかと。

 信じていた。
 信じたかった。
 

「お父さま……」

 フローラの必死の訴えは、父には届かなかった。


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