私が本物の令嬢です!

 伯爵が手を伸ばすが、女は黙って微笑んでいるだけ。


「お前が悪いんだぞ……リリア、お前が……あの男が恋人でなければ……お前がもっと、私を愛してくれれば……私は浮気などしなかった。フローラだって愛してやれたはずだ」

 女は何も反応せず、ただ微笑んでいる。


「こうなったのは、すべて、お前のせいだ……リリア、お前はフローラが生まれてから、私を蔑ろにした……フローラのことばかり、かまって……私はお前に、愛されなくなった……」

 伯爵は吐血しながら涙を流す。


「フローラさえ生まれなければ……お前は私しか見ていなかっただろう……ああ、そうだ。あの男もフローラも、お前に関わるすべての者が悪い。私たちの愛を邪魔したのだ!」

 伯爵は女に向かって、懇願するように手を伸ばした。


「リリア……助けてくれ。私は、死にたく、ない……」

 伯爵は力尽きて、伸ばしていた手をだらりと地面に落とした。
 女は何も言わずに立っている。
 伯爵は薄れゆく意識の中で、女の足下をぼんやり見つめた。
 目の焦点がだんだん合わなくなってきた。


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