私が本物の令嬢です!

 10年前のあの日だ。
 初めてセオドアと会って、木の上でたくさん話していたときのこと。
 セオドアが訊ねたのだ。
 
「君はいろんなことをよく知っているんだね。たくさん本を読むように教育係に言われてるの?」
「違うわ。お母さまに言われるの。あのね、お母さまはいつも言うの。人はときどき嘘をつくけれど、本は嘘をつかないわって。だから、たくさん本を読んで、先人たちの考えを知って、これからのことは自分で考えるようにって。人の意見を聞くことも大切だけど、それに流されすぎるのはよくないって」
「君のお母さまは素晴らしい人だね」
「ほんと? 嬉しいわ。お母さまが褒められると私も褒められたみたい」


 フローラの母リリアは娘を立派な伯爵令嬢に育てるために、自分の人生すべてを娘に捧げた。
 時折厳しくとも優しい母だった。
 フローラは母からの深い愛情を感じて育った。


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