私が本物の令嬢です!

15、真実の愛を未来へ


 あれから10年の月日が経った。
 アストリウス公爵家には当主のセオドアと夫人のフローラ、そして8歳になる双子の姉妹がいる。
 家族は平穏で幸福に包まれた生活をしていた。


 けれども、ある日フローラが言った。

「旦那さま、男の養子を迎えてくださいませ」

 しかし、セオドアは静かに反対した。


「私はもう、子を産める身体ではないから、ぜひ養子を。もしくは別の女性を娶って子を産んでもらってください」
「何を言うんだ? フローラ。俺の愛する女性は君だけだ」
「そんなことを言っている場合ではないでしょう。このままでは公爵家を継ぐ者がおりません」


 フローラは双子の姉妹を出産したあと、出血多量で意識を失い、死亡するところだった。
 医師も無理だと諦めたとき、セオドアがグレンと親しい魔法師たちを呼びつけ、奇跡的に助かったのだ。
 そのとき、フローラは二度と子を授かることができない身体になった。



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