推し作家様、連載中につき。

勉強、部活、人間関係。


いつでもうまくいくわけじゃないし、むしろ嫌だなって思うことの方が多い。


そのたびに笑顔が消え、心がズタボロになって涙にくれる夜だってある。


けれどそんな私がここまで元気になれるのは、日々に"生きがい"というものを見つけてしまったからだ。



「なんでこんなにいい小説が書けるんだろう……もういっそ頭のなかをのぞいてみたいね」



私の生きがい。


それは、携帯小説投稿サイトで知った推し作家様の神小説を読むことなのだ。



きっかけは、いたってシンプル且つ偶然。


部活の帰り、電車が遅延していた待ち時間に、なにか読もうと思ったのがきっかけ。


疲労で身体が動かないなか参考書を読むのも気が引けて、おもむろにスマホを触っていたときだった。


『へー、これ、新刊出るんだ……』


以前好きで読んでいたとある本の新刊が出るという情報をキャッチした私は、その本が小説投稿サイト発のものであることをそのとき初めて知った。


昔から本は好きだったので、本屋さんや図書館などの本に囲まれたところに行くことは好きだったけれど、大きくなるにつれて読書の時間も減り、だんだんと紙の本離れをしてしまっていた。


本屋さんに並ぶ多くの本が、いったいどのようにして製本され、ここに並んでいるのか。


そんなことを考えたこともなかったので、専門の大学に行ったり、本業を【作家】としている人たちばかりの作品だけではないのだと知ったとき、私はひどく驚いた。
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