シンデレラ・ウェディング


お風呂を済ませ、自分の部屋に入った。


夕食はいつも外で済ませてくる。朝は執事の鏑木さんが部屋へ朝ごはんを持って来てくれるし、お昼はお弁当を持たせてくれる。それで栄養は補えてると思うから、夜は適当に食べている。・・・その方が楽だから。


クローゼットから古びた箱を取り出す。


これは毎日の私の日課だ。


ベッドに腰掛け、箱を開けた。


中には一冊の絵本。中のページは破られた跡がありセロハンテープで補修してある。


何度も何度も読んだ童話。


家で継母と義姉に召使いのように扱われていた女の子のところへ王子様が迎えに来てくれる話だ。


王子様が女の子を探し出し、手を引いてお城へ連れて行くシーン。


このページの破れた跡を優しく撫でた。


もうすぐ私は20歳になる。


もう・・・王子様は現れないのかもしれない。


この絵本を貰った日のことを思い出していた・・・・・・


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