俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

◆ 第四章 お飾りの妃は寵妃を演じる

◆ 第四章 お飾りの妃は寵妃を演じる

 
 セルベス国の王宮で年に二回、国王夫妻が主宰する大規模な王宮舞踏会が開催される。

 この舞踏会は国中の貴族達が招待される大規模なもので、セルベス国の貴族達にとっては最も大事な社交の場であると言っても過言ではない重要イベントだ。

 前回、その王宮舞踏会でベアトリスは婚約者であるブルーノに公衆面前で婚約破棄されるという憂き目に遭った。

 あれから半年近くが経ち次の王宮舞踏会の日が近づいてきたこの日、ベアトリスはアルフレッドに『王宮舞踏会の件で準備の相談をしたいから来るように』と言われ、王宮内の応接間に呼び出された。
 そしてその応接間で、ベアトリスは目の前の光景にただただ圧倒されていた。

(これ、すごい……!)

 相談したいなどと言うからてっきりただの打ち合わせかと思いきや、通された部屋にはキラキラと目映いほどの宝石がこれでもかと並べられていた。

 そして、今ベアトリスの前に置かれているのはその中でも特に高級感溢れる至高の逸品だった。
 親指の爪より大きなダイヤモンドの周囲には、一回り小さいダイヤモンドがぎっしりと並んでいる。
 少し交互に位置がずらしてあるせいで余計に輝きが増して見える。そして、同じくダイヤモンドを使ったドロップ型のイヤリングは、歩くと揺れるスイングタイプのデザインだ。

(この三点セットで、一体いかほどの値段が!?)

 見たこともないような煌びやかな宝飾品を前に、ベアトリスは硬直する。

「べアティ、どうした? 気に入らなかったか?」
< 131 / 237 >

この作品をシェア

pagetop