翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「翔ちゃん大丈夫? 腰まだ痛い?」
帰り道。翔ちゃんの腰をさすりながら家路に着く。
階段上から落ちて来た私を受け止めてくれた(下敷きになったとも言う) 翔ちゃんは凄い素敵だったんだけど、私の重みで翔ちゃんを見事潰してしまった。重力加速度のせいだ。決して太ったからではない。
なので、せめてものお詫びとして先程から腰をさすっているのだ。
「……も一良い、ストップ」
「え? もう痛くないの?」
「……何かいやらしさを感じた」
「え! ゴメン! 気をつける!」
「いや認めんのかよ」
翔ちゃんが笑った。
で、結論から言うとやっぱり階段は隠されてただけだったのだ。
色々あったけど無事帰れて良かったと安堵する。
(そういえば翔ちゃんの手の傷もう治ったかな)
手を見せてもらおうと首を伸ばすと、翔ちゃんが歩くのを止める。
「……何であんな無茶した?」
「無茶って、だって翔ちゃんに何かあったら心配だったんだもん……」
「危ない行動はやめろ」
「でも翔ちゃんの方が危ないことやってたよ?」
「俺は良いんだよ。でもお前に何かあったら俺は責任が取れない」
「責任なんて……そんなの気にしなくて良いよ。私が好きでやったんだから」
「だとしても、お前に何かあったら、お前の親御さんや周りの人間が悲しむ」
「……それは翔ちゃんも同じ」
「違う」
翔ちゃんがキッパリと言う。
「……俺とお前は違う、何もかも。お前は両親や友人にとっての唯一無二だ。俺みたいな代わりがきく人間じゃない」
「そんなことないよ。翔ちゃんだって、唯一無二の存在……」
翔ちゃんが静かに首を振る。
「俺の事は俺が一番わかってる」
「翔ちゃん……」
それ以上何も言えないでいる私の顔に気づいたのか、翔ちゃんは、これまでの深刻な雰囲気を払拭するように表情を緩めた。
「……お前がそんな顔するなよ。強く言って悪かった。でも、とにかく今後はああいうのは無しだ」
「……うん」
「もし同じ事したら、」
「……したら?」
「今後一切お前とはどっこも行かないし二度と口も聞かない」
「そ、それはやだ!!」
「じゃ、言いつけを守ることだな」
「頑張ります……」