翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?

「翔ちゃん大丈夫? 腰まだ痛い?」

帰り道。翔ちゃんの腰をさすりながら家路に着く。

 階段上から落ちて来た私を受け止めてくれた(下敷きになったとも言う) 翔ちゃんは凄い素敵だったんだけど、私の重みで翔ちゃんを見事潰してしまった。重力加速度のせいだ。決して太ったからではない。

なので、せめてものお詫びとして先程から腰をさすっているのだ。


「……も一良い、ストップ」

「え? もう痛くないの?」

「……何かいやらしさを感じた」

「え! ゴメン! 気をつける!」

「いや認めんのかよ」

 翔ちゃんが笑った。


 で、結論から言うとやっぱり階段は隠されてただけだったのだ。

色々あったけど無事帰れて良かったと安堵する。

(そういえば翔ちゃんの手の傷もう治ったかな)

手を見せてもらおうと首を伸ばすと、翔ちゃんが歩くのを止める。

「……何であんな無茶した?」

「無茶って、だって翔ちゃんに何かあったら心配だったんだもん……」

「危ない行動はやめろ」

「でも翔ちゃんの方が危ないことやってたよ?」

「俺は良いんだよ。でもお前に何かあったら俺は責任が取れない」

「責任なんて……そんなの気にしなくて良いよ。私が好きでやったんだから」

「だとしても、お前に何かあったら、お前の親御さんや周りの人間が悲しむ」

「……それは翔ちゃんも同じ」

「違う」

 翔ちゃんがキッパリと言う。

「……俺とお前は違う、何もかも。お前は両親や友人にとっての唯一無二だ。俺みたいな代わりがきく人間じゃない」

「そんなことないよ。翔ちゃんだって、唯一無二の存在……」

 翔ちゃんが静かに首を振る。

「俺の事は俺が一番わかってる」

「翔ちゃん……」

 それ以上何も言えないでいる私の顔に気づいたのか、翔ちゃんは、これまでの深刻な雰囲気を払拭するように表情を緩めた。

「……お前がそんな顔するなよ。強く言って悪かった。でも、とにかく今後はああいうのは無しだ」

「……うん」

「もし同じ事したら、」

「……したら?」

「今後一切お前とはどっこも行かないし二度と口も聞かない」

「そ、それはやだ!!」

「じゃ、言いつけを守ることだな」

「頑張ります……」
< 21 / 46 >

この作品をシェア

pagetop