契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
だって、この気持ちはどうしても止められない。
 
抜群の見た目と、桁違いの実力と、社会的地位。

なにもかもを手にしていて引くて数多という言葉では足りないくらいのくせに、本心では女性を信用していないやっかいな人。

楓のことは女性とは思っていない。
 
……でも。
 
彼は、楓の生き方と考え方を、普段の姿を肯定してくれた。

嵐の夜は眠るまでそばにいてくれる、優しい人……。
 
彼を愛してしまった自分にはそれしか道はないように思えた。
 
数カ月か数年か、いつまでかはわからないけれど、この気持ちを隠したまま、契約をまっとうするしかない。
 
マシーンが止まり、和樹がカップを手に取って楓に確認をする。

「楓は、ミルクを入れて甘くする?」

「いえ、せっかくだからそのままブラックで飲みたいです」
 
答えると彼は頷いてふたつのカップを持ってキッチンを出ていく。

その背中を見つめながら、楓の心は震えていた。
 
彼と別れた後の未来が、怖くてたまらなくなったのだ。
 
寝ても覚めてもひとりきりで、目覚めのコーヒーもひとりで飲む。嵐の夜は、ひとりで布団を被るのだ。

以前ならあたり前だったはずの未来に、自分は耐えられるだろうか。
 
そんなことを考えながら、楓はキッチンを出た。
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