契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「しばしばビジネス上のトラブルに発展することもありました。あらかじめ、年頃のお嬢さまがいらっしゃる相手とは会わないようにしていた時期もあったくらいなのです」
「そうなんですね……」
「そうなんです。そのあたりを考えないで副社長が自由に動けたというだけでもありがたいことでした。秘書としてもお礼を申し上げます」
本当に彼は、見せかけの配偶者を必要としていたというわけだ。
「ですから、なにかあれば遠慮なくおっしゃってくださいね。こちらとしても善処いたします。では私はそろそろこれで。楓さんは……」
アイスコーヒーを飲み終えて一ノ瀬が立ち上がる。
「もう少ししてから出ます」
答えると彼は頷いて、店を出ていった。
楓はため息をついて、少しずつ暗くなり灯りがつきはじめた街を眺める。
頭に浮かぶのは、和樹のことばかりだった。
クイーンクローバー号就航記念式典から二週間、彼とはほとんど顔を合わせていない。彼がほとんど家に帰ってこなくなったからだ。
おそらくあの夜に楓が泣いてしまったことを気遣ってのいるのだろう。
あの日の彼の行動は、契約からは外れている。
でももし相手が楓でなかったからば、こんなことにはならなかった。
会社の未来を左右する一大イベントを成功を収めたその夜に、少し高揚した気分のまま一夜限り大人の関係を持つ。このくらいは、彼の世界ではなんでもないことなのだ。
……こんなところも、彼と自分は違いすぎる。
楓は暗澹たる思いでアイスコーヒーをかき混ぜた。
「そうなんですね……」
「そうなんです。そのあたりを考えないで副社長が自由に動けたというだけでもありがたいことでした。秘書としてもお礼を申し上げます」
本当に彼は、見せかけの配偶者を必要としていたというわけだ。
「ですから、なにかあれば遠慮なくおっしゃってくださいね。こちらとしても善処いたします。では私はそろそろこれで。楓さんは……」
アイスコーヒーを飲み終えて一ノ瀬が立ち上がる。
「もう少ししてから出ます」
答えると彼は頷いて、店を出ていった。
楓はため息をついて、少しずつ暗くなり灯りがつきはじめた街を眺める。
頭に浮かぶのは、和樹のことばかりだった。
クイーンクローバー号就航記念式典から二週間、彼とはほとんど顔を合わせていない。彼がほとんど家に帰ってこなくなったからだ。
おそらくあの夜に楓が泣いてしまったことを気遣ってのいるのだろう。
あの日の彼の行動は、契約からは外れている。
でももし相手が楓でなかったからば、こんなことにはならなかった。
会社の未来を左右する一大イベントを成功を収めたその夜に、少し高揚した気分のまま一夜限り大人の関係を持つ。このくらいは、彼の世界ではなんでもないことなのだ。
……こんなところも、彼と自分は違いすぎる。
楓は暗澹たる思いでアイスコーヒーをかき混ぜた。