契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「いや、それはもういいんだ。彼女にバレても問題はない。どのみちこの契約は終了だ」
きっぱりと彼は言う。その言葉に、楓はひどく落胆した。
『契約は終了』
自分から言い出したことなのに、彼の口から改めて聞くと、胸に突き刺さるようだった。唇を噛み、胸の痛みと溢れそうになる涙を堪える。
楓の申し出を彼が了承した。今この瞬間に、ふたりを繋ぐものは本当になにもなくなった。
おそらくはこれから先、顔を合わせることも口をきくこともなくなるのだ。
「楓」
名を呼ばれて顔を上げると、和樹が立ち上がり、楓の正面にやってくる。
「契約は終了だ、楓」
楓を見つめて宣言をした。
楓は膝の上に置いた震える両手を握り締めた。
頷いて立ち上がり、早くこの家を去らなくてはと思うのに、どうしてもそれができなかった。すべてが終わったのだという空虚な思いに支配されて、未来が真っ黒に塗り潰されたように感じている。
——もうこのまま消えてしまいたい。
楓がそう思った時。
突然、和樹が床に膝をつき楓の前に跪く。少し意外な彼の行動に驚き瞬きを繰り返す楓を見上げた。
「契約は終了して、もう一度はじめからやり直したい」
「……はじめから……?」
いったい彼がなにを言いたいのかわからないままに、楓はその言葉を繰り返す。
「そうだ」
きっぱりと彼は言う。その言葉に、楓はひどく落胆した。
『契約は終了』
自分から言い出したことなのに、彼の口から改めて聞くと、胸に突き刺さるようだった。唇を噛み、胸の痛みと溢れそうになる涙を堪える。
楓の申し出を彼が了承した。今この瞬間に、ふたりを繋ぐものは本当になにもなくなった。
おそらくはこれから先、顔を合わせることも口をきくこともなくなるのだ。
「楓」
名を呼ばれて顔を上げると、和樹が立ち上がり、楓の正面にやってくる。
「契約は終了だ、楓」
楓を見つめて宣言をした。
楓は膝の上に置いた震える両手を握り締めた。
頷いて立ち上がり、早くこの家を去らなくてはと思うのに、どうしてもそれができなかった。すべてが終わったのだという空虚な思いに支配されて、未来が真っ黒に塗り潰されたように感じている。
——もうこのまま消えてしまいたい。
楓がそう思った時。
突然、和樹が床に膝をつき楓の前に跪く。少し意外な彼の行動に驚き瞬きを繰り返す楓を見上げた。
「契約は終了して、もう一度はじめからやり直したい」
「……はじめから……?」
いったい彼がなにを言いたいのかわからないままに、楓はその言葉を繰り返す。
「そうだ」