敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
翌朝、いつもより少し遅い朝食を聖ととった七緒は、自室のクローゼットを開けて頭を悩ませていた。
パーティーへ参加できるようなドレスがないと今さらながら気づいたのだ。実家に戻ればクルーズ船に乗ったときに着たワンピースがあるが、パーティー仕様かといったらそうではない。
時刻は十時半。出かける予定の十一時まであと三十分あるが、少し早めに出てどこかで調達する以外にないだろう。
そうと決まれば聖に伝えなくては。
七緒が部屋を出ようとドアを開けたら、そこにちょうど聖が立っていて、今まさにノックしようと手をグーにしていた。
「あの、聖さん、少し早く出られますか?」
「なにどうした」
「私、着ていく洋服がないんです」
目を丸くした聖に困り顔を向ける。
「今頃それ言う?」
「……ごめんなさい」
我ながら情けなさ過ぎて謝るほかにない。
「なので、どこかで買って着替えてから」
「その必要はないよ。七緒はそのままでいい」