敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
翌日、聖を送り出した七緒は、リビングの大きな窓掃除に取り掛かった。窓と網戸の美しさで、部屋の中に差し込む光の色が違う。
昨夜、七緒は結局料理をさせてもらえず、聖の手中に陥落しっぱなし。『まだ足りない。もう一度』と何度も請われ、気づけば日付を跨いでいたくらい彼の愛に溺れた。
作ろうとしていたメニューはお弁当にして聖に持参してもらった。
「これでよしと」
磨き上げたガラス戸を前にしてひと息つく。次は聖の書斎の窓にしようと考えたときだった。ダイニングテーブルに置き去りにしていたスマートフォンが電話の着信を知らせて鳴り響く。
画面に表示されたのは〝おばあちゃん〟だった。
「もしもし、どうしたのー?」
『昨日は、もなかご馳走様』
「ううん。なにかあった? もしかして病院から薬をもらってきてほしいとか?」
矢継ぎ早に問いかけると、孝枝から『違うのよ。あのね……』とどことなく言いにくそうな雰囲気が漂ってくる。