あざと女子の恋の歌はあざとくない。


イヤリングを吟味した結果、コレ!と思ったものを手に取った。

七夕をモチーフに作られたと思われる、短冊と星があしらわれたイヤリングだ。
七夕の季節は終わったけど。


「なんかちょっと、和歌を詠んでるっぽい感じしない?」

「え……そう?」

「和歌も短冊っぽい紙に書いてたじゃん」


うん、これかわいいと思う。
これにしよう。


「じゃあ、それください」

「えっ?」


短冊のイヤリングを横から掻っ攫い、お金を払ってからあたしに渡した。


「はい」

「えっえっ、なんで!?」

「……ごめん、本当は妹のお土産は嘘なんだ。
欲しいもの、わからなかったから」


ちょ、ちょ、待って。

全然頭が追いついてないんだけど。
そもそもなんで!?何かあったっけ!?


「ど、どーゆーこと!?」

「…あれ、この前誕生日じゃなかった?」


――え、嘘でしょ……?


「覚えててくれたの……?」

「去年あんだけしつこく言われたら覚えるでしょ……。夏休み中だから忘れずに祝えって散々言ってただろ」


……そういえばそうだったわ。
去年は緋色に恋する前だった上に誕生日に部活があったから、何でもいいから祝えって言いまくってたのよね……。


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