わたしのかわいいだんなさま
次の日、アルヴィンが白の離宮に来たのは本当に夕方すぎになってからだった。昼まで爆睡したメリズローサはスッキリした顔で、それはもうにこやかに迎えることが出来た。
晩餐後、アルヴィンは持参してきた荷車いっぱいの荷物をカリンへと渡す。
「土産だ」
「わーい! いっぱいあるー。なんですか、これ?」
いそいそとお土産に走るカリンに、アルヴィンも嬉しそうに答える。
「前にキャンプがしたいっていってたな。テントも寝袋も全て揃えておいたから、一晩中外で思う存分楽しんで来い」
「えー、そんなこと言っ、ふんぎゃぶっ……」
「言ったな。行け。特別ボーナスが欲しかったら、今すぐ行け」
「えーと……わーいわーい。キャンプ楽しみです」
棒読みのカリンが、アルヴィンに蹴りを入れられた足をさすりながら飛び跳ねて出ていく。
「……カリンがあんなにキャンプ好きだとは初めて知りましたわ」
「家臣のことを気にかけてやるのも上に立つものの役目だからな」
何かが違う気がしたが、メリズローサはまだ少し睡眠が足りてないのか判断が上手くつかないらしい。その隙をついて、アルヴィンは彼女をお姫様抱っこする。
「きゃあっ!」
「さあ、今日は夜通し一緒に過ごそう」
「えっ!? ちょっと……ダメですよ。帰らなきゃ」
「帰らない」
「や、ほら、キスをして……」
「今日は、もう、キスはしない」
アルヴィンは乱暴に足でドアを蹴飛ばし、それでもメリズローサだけは優しくベッドの上におろした。少し掠れたような、艶っぽい声が彼女の耳に響く。
「その代わり、明日の朝になったら、いっぱいキスをしよう」
そう囁いて、アルヴィンはメリズローサの豊満な胸に埋まった。