沼っちゃうほど甘い溺愛ラリーなんて、続けられません


「兄貴、私の友達に素を見せるのはやめてって、くぎを刺しておいたでしょうが!」


「な~に言ってるんだ、茜。人間ってのはな、本当の自分をさらけ出さないと心の距離が縮まらない面倒な生物なんだわ~ アハハハハ~」



高らかな笑い声。

何が面白いのか、私には理解不能ではありますが……



車が動き出して。

茜ちゃんとお兄さんの、トゲトゲ漫才が始まって。

愉快なお兄さんのおかげで、楽しい休日ドライブを満喫している私です。


って……


あれ?


茜ちゃんと、どこに遊びに行くんだっけ?



茜ちゃんは高校の制服を着ている。

私はもちろん、私服だけど。



『由乃に一緒に来て欲しいところがあってさ、今度の日曜日に付き合ってよ』


そう言われたくらいで、行先までは聞いていなかったっけ。

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