年下男子は天邪鬼
side大地

引っ越し業者が新居に荷物を運び入れた後
広い部屋残された俺は荷物の整理もせず、ソファーの上に寝転がり、ひとり天井を眺めていた。

あの依子の涙を見た後では何もする気も起きないのだ。

本来なら広くて新しい部屋で浮かれているはずなのに俺は前の古くて、エレベーターもないあのアパートに帰りたいと思ってしまう。

それはあのアパートが恋しいのではなく
依子が恋しいのだ。

なんて俺は酷いことを言ってしまったのか...

先ほどから胸の痛みと共に後悔の念が押し寄せてくる。

遊びなんかじゃない...

俺は君のことが大好きなんだ。

ずっと一緒いたい

何度となく泣きじゃくる彼女を前に
溢れ出しそうになる言葉を
俺は必死に飲み込んでいた。
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