年下男子は天邪鬼
「なんだよ、その言い方?気になるんだけど...」

大地は頭を押さえたまま、
何やら考え込んでるので思い出そうとしているのだろう。

「いやっ何でもないからっ」

逆に中途半端に思い出されても
お互い気まずくなるだけだから
思い出さないでほしい。

「あっ分かった!」

大地が頭に響かない程度に声を張り上げる

「えっ!?」

私の心臓はドキリと跳ねあげた。

「あれだろ?依子が帰り道に
一人で叫んでたことだろ?」

大地は昨日の光景を思いだしながら
クツクツと笑う。

「えっ??...あっ、そうそう、それ!
かなり恥ずかしかったから...」

大地の勘違いに私はホッと胸を撫で下ろした。

「ほんと依子は見ていて飽きないよな。
あ~、だいぶん頭痛が楽になってきた」


「それは良かった。
私、午後から出掛けるから
頭痛治まったら帰ってよね?」

「どこに出かけるんだ?」

「美容院に予約入れてるの。
あと、洋服も買いたいし...
実は次の金曜日に安斎さんに食事に誘われたんだ。」

別に大地は私には興味ないんだし、
本当のこと言ってもいいよね?

依子は思わず頬を緩めた。

「ふ~ん...」

大地は無表情で天井を見つめている。

「俺も行こうかな?」

大地がボソッと呟いた。

「えっ!?どこへ?」

まさか、安斎さんのデートについてくるつもり!?

「買い物...」

「あっ、そっち?
いや、来なくていいから。
二日酔い男は大人しく家で寝てなさい」

依子の言葉に大地が不愉快に表情をこわばらせた。
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