年下男子は天邪鬼
俺の拗ねた態度に
困ったような顔を向けていた依子は
「あっ、そうだ!」 
急に思い出したように立ち上がった。

そして、冷蔵庫から何やら取り出すと
それを手にイソイソと戻ってきた。

「ほらっ、キンキンに冷えたビールだよ」

そう言って依子は缶ビールを俺の
目の前に置いた。

明らかにご機嫌取りだろ?

俺は子ども扱いされたようで
益々、不機嫌に眉間にシワが寄る。

すると、依子は
「あー、そう。
いらないの?じゃあ私飲む」
そう言って目の前のビールに手を掛けたので
俺は咄嗟に奪い返した。

「飲まないとは言ってないだろ」

俺は缶のタブをカチッと開けると
グビっと喉を潤した。

うまっ

冷えたビールに自然と頬が緩む。


依子はフフッと悪戯な笑みを浮かべた。

くそっ、まんまとご機嫌取りに
引っ掛かってしまった。

しかし、悔しい気持ちに苛まれながらも
その笑顔に二重に癒されてしまう。


ああ、これはもう正直に行ってほしくないと
言うしかない。

俺は缶をテーブルに置くと
「依子...聞いてほしいことがあるんだけど」
真剣な眼差しを依子を見つめる。

依子は「んっ?」と
小首をかしげた。




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