目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました
2. 7年後の未来
「まだ雨が降ってるから」
そういうと峰崎くんは手に持っていた2本の傘のうちの1本を私に差し出した。
借りちゃっていいものか、一瞬悩んだ。
だけどここで借りておけば、傘を返すのを口実に、学校で峰崎くんに話しかけられる!
そのことに気づいて、素直にお借りすることにした。
降車して傘を開いた。
おや? これって、明らかに女性もの……
「あの、この傘って誰のですか?」
「えっ?」
聞いてしまって後悔した。
『彼女』っていう回答だったら、私は奈落の底まで突き落とされることになる。
『峰崎くんに彼女がいる』っていう話は今まで聞いたことがなかったけれど、いてもおかしくない。
ううん、いないほうがおかしい。
「ユカコ、しっかりしろよ。ユカコのお気に入りの傘だろ?」
私……の? しかも、お気に入り?
もう一度傘を見上げた。
その赤色に全く見覚えがなかった。
「違います。私の傘はこんな高級そうなのじゃなくて、もっと安っぽい……でもスケルトンに花柄が可愛くて、」