星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
両親が離婚してから私は必要ない存在なんだと、ずっと思っていた。

でも、違った。
母は私が大学生になってからも、社会人として働きだしてからもずっと、私のことを忘れないでいてくれたんだ。

もっと早く。 母の病気が見つかる前に、こうして再会したかった。
でも、後悔してももう遅い。


「安心した……。 ちゃんと社会人として、働いているあんたを見て。 もう、後悔はないわ」


母の言った〝後悔はない〟と言う意味がどういうことなのか、理解するのに時間は掛からなかった。
そして母も、もう残されている時間が少ないということをわかっているのだ。

ーー神様、どうして母と私をもう少し早くに再会させてくれなかったの?

もう少し早ければ、もっと早くに解り合えて、もっとたくさんの時間を共に過ごすことができたかもしれないのに。


「……っ、お母さん……私…これから毎日ここに来るから……だから、元気で退院してよ。 お願い……」


涙ながら必死に訴えたけれど、母はそれに「うん、そうだね」とは言ってくれなかった。

嘘でもいいから、「元気にならないとね」と聞きたっかた。
でも、もうそれすら言えないくらいに、母に残された時間は少ないということ。

母は、昔からそうだ。 自分ができないことは簡単に「うん」とは言わない。
< 126 / 144 >

この作品をシェア

pagetop