運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜

秘密の暴露

 翌日から企画開発部が合流して行われた会議は、最悪の空気感が漂っている。

 怜も出席しているが一切発言することなく、座っているだけで存在感と威圧感が半端ない。

「本社でも、こちらからの報告は逐一受けて検討してきました。予算や規模、集客率など計算しています」

 陽から配られる資料をみんな真剣に見ている。莫大な費用が掛かる開発だけに、失敗は許されない。だが神楽坂グループは、怜の代になってからマイナス事業の改革を行い、今まで以上の利益が出ている。

 絶好のタイミングでのリゾート開発なのだ。

「見ていただいた通りの集客率があれば、一年目から利益が見込まれます」
「で?その集客率を安定的に確保するにはどうするんだ?」

 ここで怜からの厳しい言葉が飛ぶ。一年目は、放っておいても話題になり、連日賑わうだろう。リゾート経営は、最初の数年を想定して開発経営するわけではない。

 もし、何か世界的に影響するようなハプニングが起きたときは、海外客が来られなくなることがあるかもしれない。

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