運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
「これからどうなるのかな?」
「心配か?」
「心配というか……。仕事をしていた時の努力している姿は、嘘ではないと思うの。性格は問題ありだったけど、まだまだ人生は長いんだし、立派なお父様もいるんだし、立ち直ってほしいなと……」
「そうだな。あいつが本気で変わりたいと思ったらだな。陸斗にも伝えておくよ。あとはあいつが、対応してくれるだろうから」
「ありがとう」

 当時傷ついたはずのさくらだが、怜のお陰で吹っ切れた。今では、悠太を人として心配しているのだ。

 さくらに危害が及んでいたらと思うとゾッとする。以前の怜なら迷わず父親ごと訴えていただろうが、自分が父親になり子供をもってみて、父親の立場を知った。もちろん、悠太のしたことは犯罪であり、未遂に終わったが無罪放免にはならない。だが、彼が更生することを願いたい。

 恨みや復讐は、繰り返されてしまう。そうならないためにも、今回で終わりにしたい。

 一点の曇りもなく、さくらとの未来を歩めるように――

 
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