【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。
血の気が一気に引いていくのを感じる。

 ――いつかは切り出されると思っていた。

 だが、まさかこんな何気ない朝に、予告もなく告げられるとは。

 あまりにも冷静で、感情の乗っていない声音だった。

 その一言で、捺美にとって俺との離婚はたいした出来事ではないのだと突きつけられた気がした。

 動揺が大きすぎて、うまく言葉が出てこない。

「いつ離婚するの?」という問いかけに、思わず「……また今度な」と答えてしまった。

 自分で言っておきながら、また今度っていつだよと心の中で突っ込みを入れる。

 本音では『離婚はしたくない』と言いたい。

 けれど契約結婚である以上、口にできない。

期限を決めてしまったら本当に終わってしまいそうで、苦し紛れに絞り出した返事だった。

 捺美の無邪気な一言は、俺の胸を鋭い刃物で貫いたような衝撃を残した。

 むしろ、物理的に刺されたほうがまだ痛みは浅かったかもしれない。

 それほどの大事件だった。
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