シンデレラは王子様と離婚することになりました。
『そうだ、だから俺と……』

『でもっ!』

 捺美は佐伯の言葉を遮るように大きな声を出した。

『でも、私は夫を愛しています』

 捺美の言葉に、時が一瞬止まったような気がした。

『愛のない形式上の夫婦だし、早く離婚したいとは思っています。

でもそれは、これ以上大翔のことを好きになるのが辛いからで、決して離れたいとは思っていないんです。

たとえ離婚したとしても、私は大翔のことを忘れることはできません。

だから、佐伯さんとは一緒に行けません、ごめんなさい』

 驚きすぎて、頭が真っ白になった。

離婚を切り出されたのは、そういう理由だったなんて思いも寄らなかった。

捺美が、俺を好きだったなんて……。
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