【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 ただ「かっこいい」というだけでは済まされない。

理屈を超えて惹きつけられる圧倒的な色気。

「家のものは遠慮なく使え。駄目なものはちゃんと伝えるから」

 社長は濡れた髪のままキッチンに入ると、冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを取り出した。

上半身裸のまま隣に立たれ、熱を帯びた肌が近くに迫る。

耐えきれず、思わず視線を逸らした。

 ――近い。近すぎる。

思わず一歩、後ずさる。

「あの……昨夜、寝室まで運んでくださったのって、社長ですよね?」

 ミネラルウォーターの蓋に手をかけていた社長の動きが、一瞬だけ止まる。

「俺の他に、誰がいる」

「そ、そうですよね! 本当にすみません……! 抱えられた時点で起きるべきでしたよね、もう恥ずかしくて……」

 必死で早口に言い募る私に、社長は顔を見ず、静かに蓋を開ける。

「……いや、別に」

 なぜか社長は気まずそうに視線を逸らす。

 え? どういう意味? もしかして、重すぎたとか……? 
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