【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 自分のデスクで帰り支度をしていると、同僚の女子たちがちらちらと視線を寄こしてきた。

「工藤さん、今日も定時?」

「飲み会とか行くの?」

 問いかけ自体は他愛ないのに、わずかに探るような響きが混じっている。

「いいなぁ、私たちはまだ残って片付けがあるから」

 軽口のつもりなのか、それとも嫌味なのか。

にやりと笑う彼女たちに、私は顔を上げず、黙々と書類を鞄にしまいながら答える。

 私は顔を上げず、書類を鞄へしまいながら淡々と答えた。

「飲み会じゃないです。ただ、少し用事があるだけで」

(私だって飲み会に行く余裕なんてないのに)

 心の中で毒づきながら、苛立ちを抑えきれずにペンケースを鞄に押し込む。

 彼女たちが私にこういう態度を取るのは、少しは私の性格のせいもあるのだろう。

必要以上に馴れ合わず、言うべきことははっきり口にする──それが生意気に見えるのかもしれない。
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