Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜

一花は苦しげな表情をしていたものの、その声はとても優しいものだった。数秒間の沈黙の後、一花は続ける。

「誰が何と言おうと、私は言います。あなたのその傷は、決して醜いものでも恥るものでもありません。あなたが病と戦った証です！」

「……その言葉を、ずっと聞きたかった！聞きたかったの！」

瞳は子どものように泣きじゃくり、一花に強く抱き付く。嗚咽と鼻を啜る音が響く。

「速水さん」

呆然としたような顔で一花と瞳を見る薫を見つめ、桜士は言う。

「僕はこちらの四月一日先生が好きなので、お嬢さんとお付き合いをすることはできません。……僕の好きな人は、病気になった人や怪我を負った人にあなたのような言葉を投げ付けたりしません。優しくて、温かくて、その人の心にいつまでも光を灯し続ける言葉をかけます」

桜士の言葉に、薫は何も言えずに部屋を出て行った。



瞳とのお見合いが終わった後、桜士は一花と共に料亭の庭園を散歩していた。まだ帰りたくない、そんな思いから桜士が誘ったのだ。