Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜
手入れの行き届いた庭を、桜士と一花は並んで歩く。だが、その間に会話はなかった。話しかけたいのだが何を話せばいいのかわからない。だが、何かを言わなければと桜士は口を開く。

「あの、どうしてここに?ご家族の方と食べに来たんですか?」

「まさか!アルオチたちから、本田先生がお見合いすると聞いて……それで……」

一花の顔が赤く染まり、桜士の顔も赤く染まる。お見合いの様子が心配になり、来たのだろうか。ただ胸が苦しくなる。

「自惚れてもいいんでしょうか?」

桜士が訊ねると、「それは私の台詞です」と一花が桜士を見上げる。その瞳には涙が浮かんでいた。

「こんな私に、本田先生みたいな素敵な人が「好きだ」と言ってくれるなんて、夢みたいで……。本当はとても嬉しい。でも私なんかが幸せになっちゃダメだって言い聞かせて……」

零れ落ちた涙を一花は手で拭う。桜士はその手を掴み、一花を抱き締めた。

「夢なんかじゃないです。ほら、こんなにも心臓が動いてる」
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