夜を照らす月影のように#5
早く料理出来ないかな……早く、僕の作った料理を食べてもらいたい……!

ソワソワしながら料理を作っていると、今帰って来たらしい母さんとエリカさんがキッチンに入ってきた。

「いい匂い!これ、メルさんと先生が作ったの?美味しそう!」

エリカさんが作りかけのご飯を見ながら、目を輝かせる。

「リオンとパパが料理出来ないから、心配していたけど……大丈夫みたいだね」

安心したように、母さんは笑った。その言葉を聞いていた、いつの間にかキッチンにいたリオンは、気まずそうな顔をする。

「……あはは……」

それを見た僕が苦笑をすると、ちょうど料理が出来上がって「出来た!昼ご飯にしよう!」とメルが言った。

「分かった。俺、カズと父さん呼んでくるね」

そう言って、リオンはキッチンを出ていく。

「私、準備手伝う!」

エリカさんの言葉に僕は「ありがとう」と返すと、昼ご飯の用意を始めた。用意が終わって、僕らは席に着くと昼ご飯を食べ始める。

チラリと、僕と向かい合って座っているメルを見る。メルは、僕の作ったものを食べているところだった。

「うん、美味しいよ」

僕の視線に気が付いたメルは、僕と視線を合わせるとにこりと笑う。
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