夜を照らす月影のように#5



目を覚ますと、僕の顔を心配そうに覗き込むメルと目が合った。

「……良かった……」

メルは安心したように、どこか弱く笑う。僕の近くには皆がいて、皆も安心したような表情をしていた。

それから周りを見渡してみると、物の怪の姿は見当たらず首を傾げる。

僕が疑問に思っていることを読み取ったメルは「物の怪は、倒したよ」と微笑んだ。

「カズ、大活躍だったよ!」

リオンが、カズの肩に手を乗せながら笑う。

「は!?俺は、何もしてねぇよ!」

リオンの手を振り払いながら、カズは言った。

「あはは……ごめんね」

苦笑をしてから謝ると、メルは「謝らないで」と言って地面に座ったままでいる僕に手を差し出す。

自分1人で立てるけど、僕は迷わずメルの手を取った。メルの力を借りて立ち上がると、この物語の最後の文を言って元の世界に帰る。

「……皆。おかえり」

元の世界に帰ってくると、リビングで本を読んでいたエリカさんが、顔を上げて僕らに向かって微笑んだ。

その時、シャルロットさんは「エリカ……」とエリカさんの名前を呼ぶ。

「……シャルロット!!」

エリカさんは、立ち上がるとシャルロットさんに抱きついた。突然のことに、僕は驚く。それは僕だけじゃないらしく、皆も驚いた顔をしていた。

「シャルロットは、私の幼なじみなんだ!」

そう言って、エリカさんはシャルロットさんから離れた。

「はい。エリカの幼なじみです。よろしくお願いいたします」

シャルロットさんは、そう言ってお辞儀をした。
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