目に視えない私と目が見えない彼
「この光は、未蘭のおかげでできた」

「…私が作った色じゃなくて、大河先輩が作った色の方がよかったんじゃないかなって思っちゃいます」

「この絵は、病気が発覚してから描いたんだ。だから、この暗闇は俺そのものを表してる。この光は未蘭。だから未蘭に色を作ってもらいたかった」

「わ、わたし?」

「未蘭がいなければ、俺は学校を退学してたし、この絵も描けてない。
俺の光は未蘭。未蘭が俺の暗闇に光をくれたんだ」

そんな嬉しい言葉をもらう資格なんて、私にはないのに。だって、私はもう死んでるのだから。

嬉しいはずの言葉が、胸に噛みつくように痛かった。
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