目に視えない私と目が見えない彼
来衣先輩と過ごせる最後の日、私たちはデートをすることになった。プランは全て来衣先輩が考えてくれた。

まずはお家で映画鑑賞。杏子ちゃんたちは出かけていなかったので、リビングの大きいテレビで音声ガイド付きの映画を鑑賞した。

「来衣先輩って、映画好きなんですね」

「ああ、病気になる前は、もっと見てたな」

「へえ、なんか意外」

「意外なんだ。俺ってどんな印象だよ」

「かっこよくて人気あるのに、寄ってくる女の子には冷たくて、でもその冷たさも様になってて、冷酷王子って感じです」

「ぶはっ、俺が王子って、くくっ」

来衣先輩は肩を揺らして笑っていた。話すようになる前の印象とは全然違う。大きな口を開けて、目尻をくしゃっとさせて笑うなんて知らなかった。
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