契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
「なあに、藪から棒に、ミクさん、あなたと別れたかったんじゃないの」

「そんなわけないだろう」

省吾は母親の腕を強く掴んだ。

「痛いわ、離して」

「ミクをどこに隠した」

「だから、知らないわよ、私は関係ないわ、それよりミクさんと離婚するならちょうどいいわ、取引先のお嬢さんとお見合いしなさいよ」
「俺はミクと夫婦なんだ、このことは生涯変わらない」

省吾は母親に対して捨て台詞を吐いてその場をあとにした。

ミク、どこにいるんだ。

なぜ、俺に一言相談してくれなかったんだ。

その頃ミクは途方にくれていた。

どうしたらいいの?

省吾さんは恋人とうまくいって、私との契約結婚を解除したくなったんだ。

でも言い出すことが出来なくて、お母様から伝えたんだ。

この間、出かけたのは最後だから?

浮かれた私が馬鹿だった、何で気づけなかったんだろう。

ミクはエマに助けを求めた。

「エマ、今晩泊めてくれる?」

「いいけど、どうしたの?」

「離婚届にサインして、マンション出てきたの」
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