契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
私が省吾さんに抱きついた所を見ちゃったってことだよね。

由美子はメモをグシャッと握り潰して、ゴミ箱に捨てた。
そこへ、秘書室の社員が入ってきた。

その社員は由美子に一礼して席に着いた。

「あのう、この書類省吾から渡してって頼まれたの」

「ありがとうございます」

秘書室の社員は封筒を受け取った。

由美子はその場を後にした。

その頃ミクはマンションに戻り、気持ちを落ち着かせていた。

そう、私は契約の関係なんだから、省吾さんが彼女となにをしてもなにも言えない。

言える立場じゃない。

それなのに涙が止まらなかった。

ミクがそんな思いで涙している事など省吾は知るすべはなかった。

省吾の秘書は由美子がグシャっと握りつぶしたメモを見つけた。

この書類は社長の奥様が持ってきたんだわ。

秘書は省吾に報告をした。

「社長、この書類なんですが……」

「あっ、リビングのテーブルの上に忘れたんだ、ミクが持ってきてくれたのか」

秘書はグシャっと握り潰したメモを渡した。

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