契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
第九章 省吾の一途な愛
「今日は外に食べに行くか」

「そうね」

ミクは真人と食事に出かけた。

程なくして、高崎総合病院からミクに電話があった。

「辰巳省吾さんの奥様の携帯でよろしいでしょうか、わたくし、高崎総合病院の矢部と申します」

えっ、高崎総合病院の矢部先生って、省吾さんの主治医の先生だ。

「はい、何か」

「ご主人様の病状について、お話があります」

病状って、省吾さん、具合悪いの?

「はい、すぐに伺います」

そうだ、私はまだ省吾さんの妻なんだ。

ミクは急いで病院へ向かった。

「ご主人様は一向に熱が下がりません、入院して精密検査をしたいのですが、
ご本人が拒否しております」

「どうしてなんでしょう」

「奥様とトラブルを抱えており、家を開けることは希望に反するとおっちゃっています」

省吾さんがそんなことを……

「失礼ですが、離婚協議中なのでしょうか」

「いえ、その……」

「奥様から入院を勧めていただけないでしょうか」

「わかりました」

ミクは省吾のマンションへ向かった。
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