契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
ミクがいないことに、違和感を覚えた由美子は、チャンスとばかりに省吾の看病をした。

人間は弱っている時、優しくされると、心が動きそうになる。

ましてや、ミクの気持ちがわからないままの状態で、戻ってこないミクは、

自分に気持ちがないと判断してしまったのだ。

そんな時、ミクは省吾のマンションに向かっていた。

なぜ、迎えにきてくれないのか、自分はどうすればいいのか、省吾はどのように思っているのか、確かめたかった。

由美子が買い物の袋を下げて、省吾のマンションへ入って行く姿に出くわした。

まるで奥さんのように感じた。

やっぱり、私はもう、用済みなんだ。

ミクは、真人のマンションへ戻った。

私は何をやってるの?

涙が止まらなかった。

そこに真人が帰ってきた。

泣いているミクを見て、引き寄せ抱きしめた。

「ミク、どうしたんだ」

私は省吾さんに愛されていない。

真人は私を愛してくれている。

私は真人と共に生きていくしか考えられなかった。

「なんでもないの」

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