幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第十九章 ただ素直に
「あー、えーっと、瑛。今度、優と一緒に遊園地行かない?」
「あー、いいや。ごめん」
「そっかそっか!ううん、いいの」

雅は、やたらと明るく笑って言う。

「んー、お、そうだ!瑛、今度イギリスに出張に行くけど、お前も行くか?」
「あなたっ!だめよ!」
「お父様!イギリスは…」
「あっ!そうか、しまった…」

瑛は食事の手を止め、ふっと笑って皆を見る。

「そんな腫れ物扱いしないでくれ。俺、別に平気だから」
「えっでも…。やっぱりなんか元気ないし、落ち込んでるみたいだから」
「大丈夫だって!ただちょっと、自分が情けなくてさ」

そう言うと、ごちそうさまと立ち上がって2階の部屋へ戻った。

ベッドに寝転んで天井を見上げる。

聖美の側から正式に破談が伝えられてから2週間。

家族は自分を心配して、なんとか気を紛らわせようとしてくれる。

そんなふうに気を遣わせてしまうのも、心苦しかった。

「ほんと、情けないな、俺」

桐生家の長男として、持ちかけられた見合いの話を受け入れ、朱里への未練を断つ為に友達関係を解消した。

精一杯努力したつもりだった。
朱里から遠ざかり、聖美に丁寧に接し…。
過去の思い出を封印し、これからの聖美との生活をしっかり守ろうと思っていた。

だが、何一つうまくいかなかったのだ。
自分は誰も幸せに出来なかった。

それどころか、傷つけてしまった。
聖美を、そして朱里も。

「最低だな、俺」

立ち直る自信もなかった。
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