幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
だが朱里はそれからも、社長には相談出来ずにいた。

そもそも自分は、新卒採用の桐生ホールディングスの説明会に参加し、エントリーして試験や面接を受けるという通常のルートから外れてしまっている。

それなのに社長に相談するなど、とんでもなく失礼なことだ。

かと言ってこれから別の企業を受けるのも、なかなかすんなりとはいかない。

自分のやりたいことがまだ明確に見えていない為、どの企業が自分に合うのかも分からない。

じっくり探したいところだが、コンサートの企画はますます忙しくなるばかりだ。

ついに朱里は腹をくくった。
新卒採用は諦める。

コンサートを成功させる為に、今、目の前にある仕事に集中しよう。

漠然としたまま就職活動したのでは、間違いなくどこも不採用になるだろう。

こうなったら焦らず、今自分がやるべき仕事をしっかりこなしながら、本当にやりたいことを見つけよう。

そしてそれが見つかった時、中途採用で受け入れてくれる企業を受けよう、と。

「よし!兵庫のコンサートも必ず成功させるぞ!」

朱里は今度こそ気合いを入れ直して頷いた。
< 143 / 200 >

この作品をシェア

pagetop