Good day !
「うーん…、予想以上に厳しそうだな」

軽く食事を取ったあと、恵真は大和と復路の羽田空港行きのブリーフィングをしていた。

最新の気象情報を見ると、ちょうど羽田に到着する頃に、急速に発達した低気圧に覆われる予報だった。

雨が降っていないのが救いだが、それにしても風が強い。

「ゴーアラウンドとダイバートも視野に入れて燃料を計算しよう」
「はい」

ひと通り確認を終えると、すぐにシップに向かう時間になる。

恵真は、どうか風がおさまりますようにと祈りながらコックピットに乗り込んだ。

JW 254便、福岡空港発羽田空港行きは、満席の乗客を乗せて定時に出発した。

離陸は恵真がPFを務める。
先程の着陸と同じく、風の影響もなく無事に離陸し巡航に入った。

だが、往路のように雑談する余裕はなかった。

レーダーをチェックし、常に最新の情報を集めながら着陸に備える。

今のところ、羽田空港の滑走路は、16番のレフトを予定している。

恵真と大和は、滑走路と風の角度に風速を加味して計算し、横風成分を導き出した。

「32ノットか。この機種だと着陸可能値だな。雨も降っていないから視界もクリア。予定通り羽田に下りよう。クラブしてアプローチ、ウイングローで対応するが、少しでも危険だと感じたら即ゴーアラウンドする」
「了解しました」

冷静に答えたものの、羽田に近づき、いざ雲の下に下りてみると、あまりの風の強さに恵真は驚いた。

既に何機もゴーアラウンドしているらしく、再びアプローチする為、空港周辺で列を作って順番を待っている。

そして当然のように、ウインドシアーアラートも出ていた。

恵真は、頭の中で着陸シミュレーションをする。
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