【SR】だるまさんが転んだ
「何でも売ってる。麻薬、武器、人、何でもある。」


三つしか上げてないが、それが全てだと言わんばかりのヴェンの言葉に、俊介は僅かにたじろいだ。


ヴェンの世界観が垣間見えた。


「内戦地なら、武器が足りない事はあっても、売るほどはないんじゃないのか?」


俊介の当然の疑問に、ヴェンは溜め息を吐いた。


「内戦など、とっくに終わってる。」


「内戦が?それは今なら膠着状態という事だろう?」


俊介自身、日本に居た頃に、内戦の状況をテレビニュースで見た事があった。


あれは数ヶ月前所か、一ヶ月前になるかならないかという記憶だ。


「内戦に見せかけた、武器の試射。的や動物は抵抗などしない。その武器の威力を見せるには、人間を相手にするのが一番だ。」


俊介もそれを鵜呑みにする訳ではなかったが、ヴェンの言葉には、それが真実だと思わせる重みがあった。
< 27 / 57 >

この作品をシェア

pagetop