【SR】だるまさんが転んだ
次のページに手をかけた所で、俊介は応接室から出てきた二人の男をチラリと一瞥した。


スーツを着ている方は、数年前に入社した羽生だ。


もう一人の方は、今時のチャラチャラした形に、髪の毛を立たせた若い男。


大方、アイドルの元彼が当時の写真を持ち込んできたという所だろう。


俊介は鼻を鳴らしながら、見開きの通販ページへと視線を下ろした。


未だ俊介がネタを追いかけて街中を走り回っていた頃は、相手との信頼で成り立っていたものだ。


ネタを記事に出来るか出来ないかは、相手との信頼関係の強さで決まる。


それが今や、情報は金で買う時代となっていた。


取材に行けば、協力費という形で金をせがまれる事も少なくない。


ハンバーガーや牛丼と言って代金を払えば、それが差し出されるのと同じ。


人間同士の結び付きが薄い時代だ。
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