【SR】だるまさんが転んだ
ヴェンの言葉に従い、屋敷の入り口から中へ入っていくと、贅の限りを尽くしたというホールだった。


緩やかなカーブを描く階段は左右から二階に伸び、赤い絨毯が敷かれていた。


真っ白な壁は、見続けていると青みがかったように見えてくる。


庭同様に調度品は無かったが、階段や遠くに見えるドアノブなどは、全て金色で統一されていた。


極め付きは床に敷き詰められた白大理石だったが、そんな風景以上に俊介の目を奪ったのは、外よりも多い警備兵の数だった。


外では十数メートル置きだったのが、屋敷内では数メートル置きになっている。


誰も皆、精悍な顔付きを見せる前の少年ばかりだった。


ヴェンと同じ、いや、ヴェンよりも若干だが幼く俊介の目には映った。


何も言葉を発さずに歩いていくヴェンは、二階に伸びる階段下のドアを開いた。


左右に伸びる廊下はホールの背景と同じく、右手には地下へ続くと思われる階段があった。


それを見た俊介の喉仏が、大きく上下した。
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