【SR】だるまさんが転んだ
だが、だからと言って許せるものではなかった。


「ハハハハハ!」


閉じていた目を開き、腹を捩って笑っているヴェンを見て、俊介は気付かされた。


この国の光だと信じて疑わなかった少年も、この国に染まってしまっている。


その、深く深い瞳のように…。


これで、迷宮の出口を射す光も途絶えた。


この状況を打破出来る手段も力も無い俊介は、四十年歩いてきた道の先で上げる予定だった花火を諦めた。


今はただ、言葉に出来ない絶望の海に抱かれていたかった。


げに恐ろしきは、人間の進化と技術の進歩の中で心に生まれる、飽くなき黒い欲求であると胸に記して…。






───だるまさんが転んだ─完─────────
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