Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
8 想い人〜四日目〜
 明るい陽射しを(まぶた)に感じ、六花はうつらうつら目を開ける。

 ここはどこだっけ……あぁ、そうだ。宗吾とホテルに泊まったんだ。でも部屋の中をちゃんと見ないまま浴室に入り、疲れ果ててそのまま眠ってしまった。

 手を伸ばしてみたがベッドには六花しかおらず、宗吾の姿はなかった。ただ耳を澄ますとシャワーの音がしたので、安心したように息を吐いた。

 この二日間で一体何回セックスしたんだろう。彼と体を合わせると、まるでパズルのピースのようにピタリと合うような感覚になる。

 それに昨日はある意味初めての経験だった。宗吾に『愛してる』なんて言われたのは初めてだったから……。たとえ本心じゃなくても、愛を囁かれるだけで幸福感に満たされる気がした。

 その時、シャワーの音が止まり、しばらくして浴室から宗吾が出て来る。なんて色っぽいのかしら……バスローブを着て、濡れた髪をタオルで拭いている彼の姿に六花の胸は高鳴った。

 そんな六花の様子に気づいたように、宗吾はにっこり微笑むとベッドに近寄る。

「おはよう。何見てたんだ?」
「……朝から宗吾の色気がダダ漏れだなって思ってただけ」
「あはは。なんだよ、それ。じゃあその無駄な色気で可愛い恋人を誘惑しないとな」
「何言って……んっ……」

 突然唇を塞がれたが、寝起きのせいか抵抗する気も起きずにされるがままになる。

 あんなこと言われたからかな……元々好きだったキスが、更に気持ち良く感じた。もっと欲しい……そう思った時だった。

「愛してるよ、六花」

 六花は目を見開き、宗吾をじっと見つめる。

「……えっ? な、なんで今?」
「よく考えてみたら、大切な恋人に愛を囁いてなかったなって思って」
「べ、別に……! 恋人って言ったって疑似恋愛なんだしーー」
「愛してる、愛してる、愛して……んっ」

 顔を真っ赤にした六花は、頭が混乱してしまい、怪訝な表情を浮かべて思わず宗吾の口を両手で塞ぐ。しかしその手を舐められ、今度は変な声を出しながら離してしまった。

「わ、わかった! わかったから! お願いだからやめて……」
「真っ赤になって、やっぱり六花は可愛いな」
「か、可愛い⁈」

 顔を両手で覆って横を向いてしまった六花の腕にキスをしながら、宗吾は甘い言葉を吐き続ける。慣れない状況に六花は頭が混乱し、どう対処すべきかわからず戸惑うしかなかった。
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