夜を照らす月影のように#6
メルキュールside
行く宛てがないシャルロットがこの家で暮らすことになって、約1週間が経った。

僕の前世からの幼なじみ、ノワールの義理の兄であるリオンに叩き起された僕は、身支度を整えてからリビングへと向かう。

リビングでは僕とノワール以外の全員が起きていて、皆は机に置かれた本を見つめていた。

「メル、おはよう。叩き起してごめんね」

僕が近づくと、リオンは僕を見る。その顔にいつもの笑顔はなくて、僕は首を傾げた。

「ねぇ、何があったの?」

僕が問いかけると、僕と同じように居候しているエリカがゆっくりと話し出す。

話をまとめると、ノワールがこの家からいなくなって、代わりに机の上にあるこの本がノワールの部屋に落ちていた……らしい。

「最初は、メルにも探すのを手伝ってもらおうと思ったけど、まだ寝てたから起こすのも悪いかなって思って俺らで探したんだ。でも、やっぱり見つからないから……メルを叩き起こしたんだよ」

そう言って申し訳なさそうにするリオンに、僕は「大丈夫だよ」と微笑むと、少し考える。

……ノワールは、皆に声をかけずに家を出るような人じゃない。そんなノワールが消えて、代わりに部屋に本があったとしたら……今、ノワールがいるのは――。
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