10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです

「もしもし……」

低い声がした。

直接話している時より低い声だなと耳から聴こえる低音に1人で照れていた。

「ごめんね、電話くれてたんだね」

「うん、用事終わった?」

「用事?」

「そう、今日は用事があったから会ってくれなかったんだろ?」

用事というほどでもないんだけど……


「お祝いしたかった……」

「えっ?」

「25歳の誕生日、おめでとう」

「あ、ありがとう」

びっくりした……


「彼氏……」

「え?」

「同窓会の時にさ、彼氏いないって言ってたのに、あれから出来たから今日会えなかったのかなって……」

「何?よく聴こえない」

土屋くんの声は段々小さくなっていく。

「彼氏ができて会えなかったのかなって」

「……いないよ、何でそういう事聞くの?」

「ごめん……」

「うん…別に怒ってるんじゃないからね、電話ありがとう」

「明日、大丈夫?」

「……まあ、また遅い時間で悪いけど」

「家には何時に帰る予定?」

「大体9時半くらいかな」

「明日は俺が迎えに行ってもいい?」

「車あるの?レンタカーとかなら私が車出すよ」

「大丈夫」

「呑まないの?」

「明日は…うん、呑まない」

「じゃあ…お願いします」

「うん……」
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